2014/01/12

年の初めの8日間。


ご機嫌な「あまちゃんメドレー」と不機嫌な「泉谷しげる」だけが印象に残った大晦日の「紅白」。
再び楽しませてくれた「あまちゃん」はさておき、その泉谷の件で一言……国民的行事と言われる場で、ニール・ヤングばりに「手拍子してんじゃねえ」と観客にブチギレ、引き際にギターを放り投げた彼の態度に、「紅白なんて、出なきゃいいのに」と、テレビを見ながら不愉快な気分になった人も多かったはず。
私も、彼が闘う場所と毒づく相手を間違えているとしか思えず、そのパフォーマンスに首を傾げた一人だが、歌の内容とメッセージに不似合いな手拍子を疎ましく感じたのも事実。その手拍子が醸し出す能天気な一体感を嫌悪する気持ちも理解できる。
きっと、彼の魂の中の「リトル泉谷」が、孤独や貧困と無縁の観客及びテレビの前の平和な茶の間に対し、「恵まれたお前たちのために歌うんじゃない。オレは社会的弱者のために歌うんだ」と“反骨のシンガー・泉谷しげる”らしく叫ばせた原点回帰の怒声だったのだろうと思う。まあ、とにかく、誰のライブでも安易な手拍子は慎みたいもの。

さて、そんな「紅白」が終わり、ほろ酔い気分の中で明けた2014年。

元旦は、10時頃から酒を飲み、刺身や煮物をつまみ、雑煮を食べ、テレビを見ながらダラダラうとうと……午後2時過ぎ「そろそろ初詣に行くか」と腰を上げ、年末に長い髪をアフロにした愚息を引き連れ例年通り近くの「東伏見稲荷神社」へ。
沿道から拝殿まで続く長い列に加わり約30分、僅かの賽銭で短く「無病息災」のみを祈願した後、引いたおみくじは初めて目にした「凶末吉」。何とも分かりにくい字面だが、年の始めはパッとせず、後半はまあまあ……といった感じだろうか。2月から4月にかけて、旅行やローリング・ストーンズの東京ドーム・ライブなど、楽しみなイベントを控えている身としては少し出鼻を挫かれた気分に。

2日は、ケーブルテレビでやっていた映画『ゴッドファーザー』(多分20回以上観ているけど)を、朝10時半から午後5時過ぎまでぶっ通しで観た後、6時過ぎから田無駅前の「与作」で、楽しい仲間(アートでメデタイ女3人)と恒例の新年会。お互いの近況や映画、音楽、サッカーなどの話で盛り上がった後、カラオケ店に移り、終電近くまで「初歌い」。私は去年の忘年会でしくじった3曲+清志郎の「雑踏」を絶唱(?)。歌のクオリティはかなり上がって気分良し。

3日は、去年から心に留めていた「Kawaii日本美術」展を観に家人と「山種美術館」へ。途中、恵比寿駅から3、4分の「恵比寿神社」に寄り、再度お参り。縁起直しに引いた「大吉」を木の枝に結んだ後、ランチの店を物色しながら駒沢通りを広尾方面に向かった。
で、入った店は《東京Vシュラン 餃子部門堂々第1位 恵比寿餃子》という看板が誇らしげに店頭に立つ「大豊記」。名物のデカウマ餃子と麻婆豆腐、牡蠣のワンタンスープを食し、グラス1杯の紹興酒を呷り、人通りが少なくひっそりとした恵比寿の街で、ささやかな正月気分。
「かわいい」を切り口として、日本美術の楽しさや魅力を探ろうとする美術展もなかなか興味深く楽しいものだった。特に目を奪われた作品は、奥村土牛『枇杷と少女』、伊藤若冲『托鉢図』、熊谷守一『とのさま蛙』、川崎小虎『ふるさとの夢』など。
尚、この展覧会の会期は13日~32日だが、一部展示替えがあり前期・後期に分かれており、若冲の代表作『樹花鳥獣図屏風』は2月4日から始まる後期の展示予定。(もちろん、観に行くつもり)

4日は、デザイナーのueちゃんのバースディ。50の大台に乗ったそうだ。改めて時の流れの速さを思う。でも、お互いFOREVER YOUNGで
5日は、WOWOWが熱かった。映画『仁義なき戦い』で血が騒ぎ、洋楽スペシャル「ザ・ローリング・ストーンズ ライブ・イン・ロンドン・ハイド・パーク2013スウィート・サマー・サン」で血が躍り、仕事始めの景気づけ。
6日は、仕事スタート。取りあえず、ポスター制作コンペ用の企画書を書き上げ、必勝祈願(競合10社につき、採用確率10%)。
7日は、近くのスポーツジムで「初走り」&軽く筋トレ、ストレッチ。(正月1週間で体重1.5キロ増……絞らにゃアカン!)

8日は、渋谷で「初映画」(活劇を観たかったが、今年は不作で食指動かず)。ホームシアターっぽい小さな映画館「アップリンク」のUPLINK ROOMスクリーン3(座席数わずか30席。しかも座り心地の悪いデッキチェア!)で、カナダ=フランス映画『わたしはロランス』を観る。
監督は弱冠24歳(製作時23歳)のグザヴィエ・ドラン、作品の舞台はカナダのモントリオール。
小説家で、高校の国語教師のロランスは、35歳の誕生日に突然、恋人の女性フレッドに「僕は女になりたい。この体は間違えて生まれてきてしまったんだ」と自分の秘密を打ち明ける。さて、そこから二人の愛はどこへ行くのか?……という物語。
2時間48分という長尺だが、ロランスのカミングアウトの瞬間から一気に加速する、強く切なく、破壊的なラブストーリーの展開に目も心も釘づけ。圧倒的な美意識に貫かれた数々の美しい場面にも魅了され、「凄い才能に出会ってしまった」と、驚くばかり。決して好みの映画と言うわけでもないのに、言葉にならない興奮の中でエンドロールを迎えてしまった。例えるなら、青春期に初めてゴダールを観た時のような衝撃か……「グザヴィエ・ドラン」畏るべし。

というわけで、少々遅ればせながら新しい年の「コトノハ舎ブログ」スタートです。今年もご愛顧のほど、どうぞよろしく。

2014年が、皆さまにとって、良い年でありますように。

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