2019/02/28

映画&エトセトラ①『バハールの涙』




久しぶりに映画の話。ここ1ヶ月半ぐらいの分を順番に、サクッと(のつもりですが…)。

『バハールの涙』(監督:エヴァ・ウッソン/製作国:フランス、ベルギー、2018年/新宿ピカデリーにて120日鑑賞)

英題は「Girls of the Sun」。《イスラム教スンニ派過激組織「IS(イスラム国)」に夫を殺され、息子が捕虜にされたイラクのクルド民族少数派ヤズディ教徒の女性バハール(元弁護士。自らはISに拉致され性奴隷に。奴隷市場で売買されるが、命がけで脱出)が、女性武装部隊「太陽の女たち(娘たち)」のリーダーとなって戦う》物語。映画はもう一人の主人公マチルダ(夫を紛争地で失くし、愛娘を国に残したま戦地取材を続ける隻眼のジャーナリスト)とバハールが出会う所から始まる……

という壮絶なストーリーで、必然、スクリーンには張り詰めた緊張感が漂うが、決して沈鬱な気分のままでラストを迎えるような作品ではない。まず、特筆すべきは主人公バハールの圧倒的な存在感(端正な顔立ち、強固な意思と慈愛を秘めた眼差し……演じるは、「世界で最も美しい顔100人」のトップ10の常連でイランを代表する女優ゴルシフテ・ファラハニ)。その凛とした姿と、行動を共にする女性たちが醸し出す厳しくも温かい空気感が、映像の美しさと相俟って「戦争と人権」という重いテーマを描いているにも関わらず、不思議な心地よさと深い味わいを与えてくれる。(「太陽の女たち」という部隊名を聞いた時は、平塚らいてうの「元始、女性は太陽であった」というフレーズが頭に浮かんだが、「太陽」はヤズディ教のシンボルマークで“神の象徴”。銃を手に「女、命、自由!」というスローガンを叫ぶ姿も印象的だった)

で、映画を観て初めて知ったのだが、イスラムの戦闘員たちは「女性に殺されたら天国へ行けない」と信じているらしく、それ故「太陽の女たち」は男たちを心底から脅かすことのできる存在のようだ……信仰心の欠片もない自分には、何故そんなに「天国(に行くこと)」にこだわるのか理解できないが、イスラム教徒は「天国で素晴らしい思いをするために、現世で宗教的な努力をする」とのこと。
現世で可能な限り欲を慎むことで、来世では欲を思う存分に満たす(というか解放する)ことが出来るという事なのだろうか。これまた本末転倒では?と思うが、それは宗教を必要としない私のような人間の考え方。
地球上には16億人以上のイスラム教徒ほか「宗教を拠り所として生きる人」がたくさんいて、「天国に行けないと困る」と真剣に思って生きている人がいることを、心に刻んでおかなくてはいけない…そう改めて気づかされた映画でもあった。(但し、「聖戦」と言って戦う者たちが何故、映画の中のような蛮行を繰り返すのか。それが「現世での宗教的努力」とどう結びつくのか。という点に関しては全く理解不能だし、只々許しがたいこと)

ところで、作家・橋本治の言葉を借りれば、現在危機に瀕している「グローバリズム」も「人はみんな我々と同じであればいいのだから、我々のようになれ!」と言っている点で、ISなどのイスラム過激派と対立関係を構成する同じような信仰……コピーライター的にも、どこもかしこも「グルーバル、グルーバル」と得意げに語る風潮にうんざりし、胡散臭く感じていた時期もあり、そういつまでも上手くいくはずはないと思っていたが、その“エリート主導の信仰”が力を失った後にやってくるのが、右派ポピュリズム主導のナショナリズムというのでは、あまりにも心貧しく危ない気がするのだが、さて、はて?(ちなみに日本にはもっと危ない「森羅万象・安倍信仰」というのがあるそうで…)

※注目の「米朝会談」は「合意に至らず」。肩すかしを食らった感じになったけど、仕切り直し…かな? 明日は六本木まで「北斎展」を観に行く予定。

 

2019/02/25

最近気になったニュース②




先月末に亡くなった作家・橋本治の新刊『思いつきで世界は進む』(ちくま新書)を読んでいたら、「簡単に分からないために」と題された一文に突き当たった。書かれたのは201512月……

《安倍政権の最大の問題点は、「政治は、信任を受けた我々がやる。だから、よそから余分なことを言うな」という態度を貫いてしまっていることにあると思う。だから「自分達」以外の声を聞かない。国会に提出する法案が杜撰で相互に矛盾する内容を含んでいても、担当大臣の説明に食い違いがあって不明瞭でも、「これを執行するのは私達なのだから、私達に任せて余分な疑問を持つ必要はない」として突っぱねてしまう。安全保障関連法案の前の、特定秘密保護法の時からそうだった。
「説明不足だ」と言われても、「説明は尽くした」で逃げてしまう。「いずれ国民は理解してくれる」と平気で公言する。国民は何を理解するのだろうか?穴だらけで相互に矛盾するような内容を含んだ法案が丸ごと理解出来るようになるんだろうか?「きちんと説明出来ないような辻褄の合わない法案を提出して平気でいられる大臣のあり方」は、どのような形で容認され、理解出来るのだろうか?》
《「戦争法案だから反対だ」というスローガンは分かりやすい。でもその分かりやすさは、「日本の安全保障をどうするのか?」という問題をたやすく吹っ飛ばしてしまう。反対すべきは、その法案の一歩も二歩も先を読んだ「戦争法案だから」ではなくて、「我々のやることだから余分なことを言わずに受け入れろ」という政府の態度に対してあるべきはずなのに、「戦争法案反対」の声は、そこを素通りする。
「その説明は説明になっていない。説明ではない。ただの押し付けだ」ということが、重大なる徳目違反を指摘するものだという理解がなくなってしまっているから、「余分な口出しをするな」という態度が、国会という「審議の場」で通用してしまう。言論の重要性を無視して、それでも平和でにぎやかで、金儲けだけが第一のこの国をどうするのかということなんかは、簡単に分かるはずがない。とりあえず「簡単に分かる」というイージーな手は捨てるべきだ。》

と、彼が記してから3年以上の時が経ったわけだが、「説明できない・説明するつもりがない」「質問に答えない・質問に答える気がない」相変わらずの安倍政権……(その内閣の支持率を支えている国民のバカさ加減も、NHKをはじめ政権におもねるメディアの状況も相変わらず。不正・隠蔽・改ざんを重ねる政権に厳しい追及の目を向けるどころか、政権批判をかわすマジックワードのように「野党がだらしないから」「他の内閣よりはまし」という言葉を垂れ流すだけ)

「魚は頭から腐る」とはよく言ったもので、「バイトテロ」「あおり運転」「児童虐待死」「2000万円の口利き(片山さつきの公設秘書)」「国会議員による暴行・盗撮疑惑」等々……連日、テレビから流れてくるのは「一体、日本列島の住人たちはどうしちゃったんだろう?」と、酷過ぎて声もでないようなニュースばかりだが、いちいち腹を立てていては自分の身が持たない。ともかく、日常的に気分が悪くならない程度にモロモロ目をそらさずに考えていきたいもの。

というわけで「最近気になったニュース」その一。
「韓国VS日本」
韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長がアメリカメディアから従軍慰安婦問題に関してインタビューを受けた際に「日本を代表する首相かあるいは、私としては間もなく退位される天皇が望ましいと思う。その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか。そのような方が一度おばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと言えば、すっかり解消されるだろう」と語ったことに、政府もメディアも猛反発。街頭インタビューでは「日韓断交」を言い出す人まで現れ、日韓関係はにっちもさっちもいかない様相……

先日(16日)、高校の部活仲間との飲み会があったが、その席でもこの件が話題になり、友人の一人は「アレは許せない」と怒り心頭……で、どの部分が特に許せないのかというと、“(今上天皇は)戦争犯罪の主犯の息子”と迂闊に発言しちゃった点にあるようだ。
それに対して「こんなに関係が冷え切っている時に、日本の憲法も知らずに天皇に謝罪を求める国会議長も相当アホだと思うけど、そこは(戦争犯罪の主犯の息子)、別に間違ってないんじゃないの?だって、侵略された側から見れば(昭和天皇は)その戦争の最高責任者だったわけで。ただ、それを今わざわざ言わなくても…とは思うけど」と、友人を宥めたが、イマイチ納得いかない様子。まあ、それだけ今上天皇が「平和主義者」として、彼をはじめ多くの国民に慕われ、崇められているという証かもしれないが、それなら尚更、「断交」などという怒りにまかせた行動や発言は慎むべき。(“怒り”に便乗した「ヘイトデモ」などは論外)。
「徴用工」「竹島」「従軍慰安婦」「歴史認識」など、国同士がぶつかる問題は多々あるが、個人的にはこれ以上の「民族意識」のぶつかり合いだけは勘弁してほしいと思う。(もうすぐ「三・一独立運動」記念日……安倍政権に気配りするメディアが、植民地支配など過去を正当化するような様々な動きにへつらって嫌韓を煽らなきゃいいけど…)

続いて、その二。
「正しい叱られ方?」
「チコちゃんに叱られる!」の大ヒットに浮かれて……というわけでもないだろうが、先週の火曜(19日)、NHKの「おはよう日本」で、「正しい叱られ方」を教える大正大学の取り組みが、チコちゃん的なユーモアも批評性もなく“真面目に(かつ有意義なことをやっているかのように)”紹介されていて、口あんぐり。(そのセミナーで「叱られ方」を学んでいるのは春に就職を控えた学生たち…)

そもそも「正しい叱られ方」って、「叱る側が正しい」という前提に立たなければ成り立たない話。「パワハラ」「ブラック企業」が問題視されるこのご時世、「叱られ方」などという“支配される態度(というか奴隷根性)”を教え込むような大学の姿勢こそ問題じゃないの? それを疑問視せずに「打たれ弱さ(の克服)」とか「叱られることへの“免疫”(をつける)」とか、なんで「叱られる方が悪い」的な方向にもっていくわけ?いよいよ地に堕ちたなNHK……と思っていたら、案の定、番組終了後に「時間の無駄使いにも程がありすぎて日本の終末さえ感じる」「ブラック企業適応講習」「パワハラを正当化するための表面上の『打たれ強い』人材の育成か…」等々、私と同じような感想を抱いた視聴者からのクレームが殺到したらしく、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と、ちょっとだけ溜飲を下げた気分に。

以上、他にも色々「気になったこと」はあるが、この項は終了(正直、少し疲れた)。次回は溜まりにたまった「映画」の話でも…。

※「沖縄県民投票」の結果が出た。「辺野古新基地建設反対72%」という数字も大きな意味を持つが、それ以上に、県民投票への参加を訴えてハンストを行った元山さんをはじめ若い世代が行動を起こして政治を動かしたということが、明日に繋がる素晴らしい成果のように思う。まずは、沖縄の人たちに敬意を込めてエールを送りたい。

 

 

2019/02/16

「ザ・ブルーハーツ」な朝。



今朝、パンを食べながら新聞に目を通していたら、読者の「声」欄で、「ザ・ブルーハーツ聴いて頑張る」という小学生の声に出会った。

《ぼくはザ・ブルーハーツの音楽が大好きです。最初に曲を聞いた時は感動しました。どうして好きかというと、リズムも好きですけど、やっぱり歌しが一番いいです。
「シャララ」などの歌では「『さようなら』も言わないで 黒い雨 降らせてる」と戦争のおそろしさを伝えている気がします。一度、歌しにも注目してみて下さい。
ほかにも、勇気づけられるような、とてもいいメッセージがあります。例えば「人にやさしく」では、「心のなかではガンバレって言っている 聞こえてほしい あなたにも ガンバレ!」などがあります。
ぼくは自転車競技の一つである、BMXというスポーツでうまくいかなくて、へこむ時もあります。だけどザ・ブルーハーツの歌を思い出すと「がんばろう!」と思えます。ぼくの心の支えになっています。
もちろん他の音楽も聴きます。それぞれが個性の持った曲を作っていますが、やっぱりザ・ブルーハーツにはかないません。他の音楽より心にひびきます。だからぼくはザ・ブルーハーツが大好きです。》(小学生 市村絆人 東京都11歳)

小学生の彼同様、ザ・ブルーハーツが大好きなワタクシ……この記事を読む少し前は、テレビから流れてきたトランプの声(「安倍首相からノーベル平和賞に推薦された」)に「ハア~?」と呆れはて「相変わらずトランプのポチか!」と、一人、憤っていたが、この絆人君(ばんと君?はんと君、それとも、きずなと君?)の声に触れ、一瞬で心のスイッチが切り替わり気分全快。
久しぶりに“絆人推薦”の「シャララ」と「人にやさしく」を聴きながら、食後の美味しいコーヒーを飲む、という実に心地よい朝を過ごさせてもらった。(まさかこの歳になって小学生の声に触発されてブルーハーツの曲を聴くとは思わなかったが)

THE BLUE HEARTS「シャララ」

THE BLUE HEARTS「人にやさしく」

※今夜は新宿「あえん」で高校時代の同期(部活仲間)4人での飲み会あり。会は18時からなので、その前に映画……『誰がための日々』か『デッドエンドの思い出』か『洗骨』か、何れを観るか考慮中。(帰りが遅くなりそうなので、NHK「ブラタモリ」と「SONGS(あいみょん)」、Eテレの特集「熊をあがめ熊を撃つ」を録画)

2019/02/15

最近気になったニュース①




先日(12日)、ネットでこんな記事を目にした。

《俳優の斎藤工(37)が12日、都内で行われた「ベストフンドシストアワード2018」受賞式に登場し、主演映画『麻雀放浪記2020』(4月5日公開)が“公開危機”に陥っていることを明かした。国会議員の麻雀議連(自民党有志により結成)限定試写を行った際、東京五輪が中止となる映画の設定にクレームが入ったという。》 
(「ベストフンドシスト…」はさておき、映画『麻雀放浪記2020』はその経緯を踏まえ、今後は、マスコミ向けの試写は行わない方針。斎藤工の言によれば「設定自体がお叱りを受けています。試写をしてしまうといろんな指摘を受けて、(公開予定が)ゼロになる可能性もあるので、強行していきたいなということですよね」とのこと)
それに関してツイッター上では「誰だフィクションの映画にクレームつけて公開を妨害している国会議員は? 」「映画の中で東京五輪中止を描いたから公開中止なんて中国じゃあるまいし、ありえない。」等々、著名人をはじめ“国会議員による表現弾圧”に多くの抗議の声があがっていた。

当然、私も瞬時にそれらの声に同調したい気分になったが、「ちょっと、まてよ?」と、少し冷静になって考えてみると、どうも裏がありそうな気がしてきた。
まず、映画のタイトルからして「東京2020」に対抗している(喧嘩を売っている?)のが見え見え。しかも、監督は日本ノワール復活の旗手と目される「白石和彌」――
政治の世界に例えると“反体制・武闘派”と呼んでもいい彼が“国会議員のお叱り”ごときに易々と屈するはずもないし、その前に“麻雀つながり”とはいえわざわざ(文句をつけるに決まっている)自民党の国会議員に限定して試写を行ったのも妙な話。(端からクレームを想定して…と言うより、敢えてクレームを促したいがためではなかったか?)

とすれば、コレは「クレーム」という圧力があったことにより(圧力というほどのものだったかも疑問だが)「体制側に不都合な映画」というイメージを醸成し、「公開中止」をにおわせながら作品への興味喚起を図るという、よく練られた新手の炎上商法ではないか?……(というのが私の“読み”)。
だって、参院選を間近に控えた国会議員たちが、コアな映画ファンが好みそうな作品の公開に圧力をかけて中止に追い込んだ所で、その“表現弾圧”をあちこちから非難されるだけで、なんの得もない。また、五輪どころか東京全体が壊滅寸前になった『シン・ゴジラ』でさえ堂々と公開され大ヒットを記録したわけで、「東京五輪中止の設定で公開中止」なんて、普通に考えてありえない話。(もし、本当に公開中止に追い込まれたとしたら、それこそ「日本死ね」ということだが)
単に、私を含め多くの反安倍リベラリストたち(?)が、白石和彌と斎藤工の巧みなPR戦略に乗せられているような気がするのだが…

というわけで、何だか色々楽しみだなあ~『麻雀放浪記2020』。



2019/02/02

明日は昨日の風に吹かれて。




今朝、『アベノミクスによろしく』の著者・明石順平さんのツイッターを覗いたら「シン・アベノミクス3本の矢」という“つぶやき”が載っていた(131日付)。

1 インチキ官製相場 →日銀マネーと年金マネーで株価維持
 2 インチキGDP改定 →国際的GDP算出基準と全然関係ない「その他」でGDPを粉飾(ソノタノミクス)
3 インチキ賃金統計 →算出方法の違う2018年と2017年を「そのまま」比較して賃金伸び率をかさ上げ

以前から「おかしい、おかしい…」とは思っていたけれど、株高もGDPも賃金上昇もすべてフェイクだった。中でも特に許しがたいのは、(私たちの)年金資産がアベノミクスの株高を演出するための株価買い支えにつぎ込まれ、過去最大の15兆円近い運用損を出してしまったこと。(しかも、そのことに誰も責任を取らない!)

なのに、「それって、国家的な詐欺行為じゃないか!?」とか「安倍政権はなぜ国民に謝罪しないのか!?なぜ辞めないのか!?」という声が、メディアや国民の間から湧き上がることなく、漫然と平成の日々が流れて行く。

なんかつまんねー(というかメチャクチャな)世の中だなあ……と、一人ごちながら、どう世相にコミットすればいいのか分からない「時代の迷子」のような気分で、先日70歳で亡くなった作家・橋本治さんの著書『明日は昨日の風が吹く』をパラパラとめくっていたら、こんな一文に目が留まった。(小見出しは「ついにきちゃったリーマンショック」。書かれたのは200811月)

《金融とか投資関係って、「大損した」ってことは認めても、反省はしないんだよな。だから、株が暴落したって、「底値を待って、もう一度復活の時を」という考え方しかしない。「資金が底をついたから、市場から撤退する」ということはあっても、反省はしない。「底値を待って、もう一度」という考え方しかしないから、経済というものは根本のところで、「永遠の右肩上がりの成長神話」という呪縛から自由になれないんだ。》
《株が暴落して、一日にして何十兆円あるいは百兆円以上の「あったはずの資産」が消滅してしまうということは、「そんなものをあると思って、そのことを前提にしてなにかをしようとしていた」ということ自体が間違いだったかもしれないということで、「あるはず」という思い込み、あるいは「思い込ませ」を前提にしていたからこそ、「実体経済から遊離した経済」などというものが生まれてしまう。それはつまり「仮構(ヴァーチャル)経済」で、経済というものが「未来の決済」を前提にして動いている「予測含みのもの」であるからこそ、こんなものも生まれてしまう。「予測含みのもの」を、「だからこそ仮構であってもいい――仮構であって仮構でない」と言ってしまうのは詐欺だと思う。詐欺は犯罪で、犯罪者が反省するかどうかは分からないけども、犯罪を抑止するのは、詐欺に引っかかった人間が反省するしかないと思う。》

なるほど。結局、反省すべきは、実体経済を無視して国民資産を食い潰しながら辛うじて株価を維持している連中(アベノミクス詐欺集団)を、長きに渡り野放しにしてきた私たち国民ということか……

というわけで、「毎月勤労統計(の不正)」「不毛な日露首脳会談」「フォトジャーナリスト・広河隆一氏による性暴力問題」等々、あまりに情けなくて心寂しくなるようなニュースばかりの今日この頃。加えて、昨夜はサッカー日本代表がカタールに負け、4日前には敬愛する作家・橋本治(同じ高校の先輩でもある)をこの世から喪い、なんともアンニュイな気分の週末になってしまった。
(でも、明日は旧友たちとの飲み会。“昨日の風に吹かれながら”楽しく語り合いたいもの)

P.S,
気分直しに、こんな曲。フラワー・カンパニーズの「あったかいコーヒー」。


大きな男達が 足跡残したまま
吹き上げる蒸気の中 去ってった
静かな雪景色が 一夜の夢に変えて
あたりは一面 木綿色

春には雪も溶けて 花びらも昇り出し
きっと悲しくなるでしょう
涙の玉ひとつ 肩に落としたなら
そっとあなたに 寄り添うから

ほろり ほろり 注いでください
ほろり ほろり からっぽの心に
あったかいコーヒー

 

2019/01/22

年末・年始のあれこれ②



13日(木)
初映画。新宿ピカデリーで『アリー/スター誕生』を鑑賞。
監督は、本作でレディー・ガガとダブル主演を務める俳優ブラッドリー・クーパー(『世界にひとつのプレイバック』『アメリカン・スナイパー』など出演作多数)。

1937年公開の同名映画の4度目のリメイク作品……なので、ストーリー的な新鮮味はないが(有名な男性シンガーに見出された無名の女性歌手が、公私にわたる彼のサポートにより成功の階段を昇っていく……しかし、対照的に男の方は歌に行きづまり酒とクスリに溺れ転落していくという、ありがちな展開)、とにかくダブル主演の二人がイイ。

レディー・ガガの歌がイイのは言うまでもないが(女優としても見事!)、驚いたのはブラッドリー・クーパーの歌の上手さ!しかも、自身の監督デビュー作で稀代のポップ・スターと共に主演を務めるとは……その多才ぶりに驚くほかなし。(名匠クリント・イーストウッドとも親交が深いそうだが、彼の後継者的存在になるのでは?)
というわけで、お決まりの悲恋物語に涙するより、レディー・ガガの素晴らしい歌に酔いつつ、アラフォーのイケメン、ブラッドリー・クーパーの才能に刮目すべき作品。

※愛猫ジャックの体調回復(下痢も治まり、食欲も出てきた)。ホッとひと安心。

15日(金)
久しぶりに「立憲民主党」のツイッターを覗いてみたら、「本日4日、枝野代表は福山幹事長らと伊勢神宮を参詣し、一年の無事と平安を祈願しました。」という呟きが参拝写真と共に載っていてビックリ。(写真には、枝野代表、福山幹事長、蓮舫副代表など、党幹部の面々の姿が…)

伊勢神宮だろうが靖国神社だろうが、正月に一年の無事を願って神社を参拝するのは日本人の習わしのようなもの。個人的に参拝するのは自由だし(現に私も伊勢神宮を参拝したことがある)、そのこと自体に何の文句もない。しかし、憲法には「国及びその機関はいかなる宗教的活動もしてはならない」という政教分離の原則が明記されている。
野党とはいえ、公党の役員である国会議員たちが(しかも自分が“パートナーズ”の一人として支持している政党の幹部たちが!)、その原則をわきまえず、戦前・戦中の日本を支配していた天皇崇拝のイデオロギー「国家神道」の象徴であり頂点にある神社(現在的に言えば、安倍政権と一体化して憲法改悪を目論む神社本庁の総本宮)を参拝し、それをわざわざ公式のツイッターで公表するとは一体どういうことだろう……まさかの正月ボケor天皇崇拝?それとも保守票欲しさの「自分たちこそ真の保守(保守本流)」というアピールか?
いずれにしても、私のように保守本流などという色褪せた概念とは無縁の立民支持者を落胆させ、そのヤル気を削ぐような行為であることに変わりなし。「年明け早々、何やってんの!?」と、開いた口が塞がらなかった。(しっかりしてくれ、エダノン!)

16日(日)
TSUTAYAで映画DVD4本レンタル。その中のひとつ『カメラを止めるな』(監督:上田慎一郎/2018年)を観た。(他の3本は、特に感想なし)

「無名の日本人監督の作品でありながら、世界各国の映画祭で大反響を呼んだ異色のゾンビ映画」「超ド級のエンターテインメント作品」など、その高い評判はメディアを通じて知っていたが、まさに期待通り・評判通りの面白さ!低予算&無名俳優だけの「ゾンビ映画」でこれほど楽しめるとは思わなかった。

で、何がイイって、とにかく脚本とよく練られたアイデアが秀逸。息もつかせぬ展開&カメラワークに一気に引き込まれた後、妙な開放感と共に押し寄せてくる「してやられた!」感が半端ない。それに加えて、大爆笑のハプニングあり、家族愛のドラマありで、観る側に何とも言えぬ爽快な感動をもたらすとは、恐れ入谷の鬼子母神……新人監督の“映画愛”が細部にまで宿る極上のコメディに大満足のひと時(96分)だった。(超拡大ロングランヒットもナットクの一本!)

夜は、NHKの大河ドラマ「いだてん」&日テレの新ドラマ「3A組――今から、皆さんは人質です――」。
(「いだてん」…クドカンの脚本だし、回を追うごとに面白くなるのだろうが、1年間、たけしの「志ん生」に付き合う気にはなれない。「3A組」…面白い!次の展開が気になる学園ものサスペンス。菅田将暉の“魂の授業”に最後まで付き合うつもり)

※黒猫ジャック、食欲全開で完全復活。

18日(火)
昼頃、「神田明神」で今年2度目の初詣を終え(おみくじは「吉」、引き直し成功。名物の甘酒も頂いた)、御茶ノ水から神保町方面へ……まずは腹ごしらえということで“江戸川乱歩もハマった”という神田すずらん通りの「天麩羅 はちまき」で穴子海老天丼(1500円)を食べた後、30数年ぶりに入った喫茶店「さぼうる」で珈琲。レンガの落書き、煙草のけむり…昔と変わらない雰囲気が懐かしく、嬉しかった。

「さぼうる」を出た後は、神保町らしく本屋めぐり。私は三省堂で『東京タクシードライバー』(山田清機/朝日新聞出版)を、ツレは古書店の店頭で見つけた漫画『深夜食堂①』(安倍夜郎)と『深夜食堂の勝手口』(堀井憲一郎、協力◎安倍夜郎)をそれぞれ購入。
そぞろ歩きの楽しさに体も多少軽くなり、「これにて正月気分は終了」と、すっきりした心持ちで帰路に就いた。