2017/12/03

10日間のメモ③(ラスト)



11月26日、27日(日、月)
日がな一日、仕事……先日、明石での打合せを踏まえ「営業案内パンフ」のキャッチ&ボディコピーを再考。2日がかりで書き上げた。

27日夜の「クローズアップ現代+」は、サブちゃんとキタサンブラック……その強さの秘密はハードな調教に耐えられる丈夫な体にあり。人も馬も体が資本、健康第一ということか。

11月28日(火)
午前中にページ構成、レイアウト上の注意点をまとめ、午後、デザイナーのUEちゃん(&MIYUKIさん)と打合せ。あとはデザインの上がりを待つのみ。

夜は、MIYUKIさんにもらった北海道の「長芋」をすりおろして、とろろ芋に。

11月29日(水)
仕事の手が空いたので、録画していた番組を一気鑑賞。

まず1116日にBSプレミアムで放映された《英雄たちの選択「本当の幸いを探して 教師・宮沢賢治 希望の教室」》(司会:磯田道史、渡邉佐和子、出演:赤坂憲雄、高橋源一郎、大島丈志)……時代の逆風に晒されながらも「みんなの本当の幸い」を探し求めて前へ進もうとする賢司の姿に、惹かれ続けている人たちの熱く深いトークが展開される60分。

賢司が東京に上京した際、神保町辺りで春画を買い漁って同僚に土産代わりに配ったという話は何処かで聞いたことがあるが、それを教材に農学校の生徒たちに性教育を行っていたという話には「へえー、そうだったんだ」と少しビックリ。
生涯、女性と深く関わらなかった賢司が行う性教育とは、どんなものだっただろう。その教室の隅で彼の授業を聴いてみたいと思った。(賢司同様、私も岩手生まれ。「風の又三郎」の幻燈などを通して、幼い頃から賢司の童話や歌に親しんできたが、この話を聞いてますます彼の人生に興味が湧いてきた。高校時代の恩師も編集委員として名を連ねている「賢司全集」、改めて読み始めようかな…)

続いて、ETVEテレ)特集「ロシア革命100年後の真実」(1125日放映/60分)。

私もその昔、大した知識も思想性も持ち合わせてないのに、民衆蜂起による社会主義革命と、その指導者レーニンに対して、漠とした憧れを持っていた多くの若者の一人だったが、革命後の熾烈な権力闘争(後のKGBによる「反革命分子」の殺害)も含め、ロシア革命は一千万人を超える死者を出した「血に彩られた革命」であり、本来“憧れ”などという甘い感傷とは無縁の世界にあったもの。
また労働者の解放といっても、「労働者と農民が中心になって作る平等で平和な社会主義国家」を目指したレーニンの理想からはほど遠く、その内実は「皇帝のために働け」から「ボリシェビキのために働け」に変わっただけ。労働者及び大衆に平等と平和と自由を期待させていた分、余計に罪深い気さえしてくる。

というわけで、革命への憧れも幻想もすっかり消え失せ、今は「自由のない平等」より「自由のある不平等」の方がまだマシ。と、かなり冷めた目で見ている自分が、テレビで「ロシア革命」の暗部を見せられても、がっかりすることや驚くことはないはず……と思って観ていたが、次々に公開されている当時の極秘資料の中に、抵抗する民衆に向けた毒ガス兵器使用の命令書があったことには、一瞬、背筋が凍りつくほどの衝撃を受けた。もちろん、命令書に記されたサインは革命の指導者「レーニン」その人のもの。番組では、毒ガスで鎮圧されたタンボフの農民蜂起の現場取材の様子も映されていた。(そんな「革命」、絶対にいらない)

録画の最後はBSプレミアム 金曜夜8時の「赤ひげ」。山本周五郎のヒューマニズム溢れる世界をテレビで味わえる嬉しさ。“平成の赤ひげ” 新出去定役の船越英一郎の演技が光る。(三船敏郎の「赤ひげ」とはまた違った魅力。独特の優しさと繊細さを感じる。青年医師・保本登役の中村蒼もイイ感じ)



2017/11/30

10日間のメモ②




11月22日(水)
クライアントとの打合せのため、103分東京発の「ひかり」で西明石へ。
西明石駅でY君と待ち合わせ、会社が用意してくれたタクシーに乗り、1時間ほどで「K工場テクニカルセンター」に着いた。
到着後、すぐに社長以下5名の方が居並ぶ会議室へ。軽く挨拶を交わし、頂いた珈琲を飲み、14時半過ぎに会議スタート。


その場の成行きで進行役を務めることになったが、訴求点・問題点を再整理する中で比較的スムーズに方向性が固まり、全員の意志一致がとれて2時間ほどで終了。
その後、Y君と二人、社長も同乗する社用車で宿泊場所の「グリーンヒルホテル明石」へ。

チェックイン後、ロビーで待ち合わせ“酒場放浪記”……雨の中、明石駅から電車に乗り三宮で下車。西口から歩いて3、4分の割烹料理店「味勧屋(みかんや)」の暖簾をくぐった。

「社長に連れて行ってもらった店だけど、すごくコスパがいいよ」というY君が予約してくれた店だが、聞いたとおり先付から〆の鯛メシまで文句なしの美味しさ。酒も進んだ。

二軒目は明石に戻って、何度か利用したことのある駅ナカの串揚げ屋さん。安い!早い!旨い!の三拍子揃った大衆的な店だが、私的には、やや格調も値段も高い「味勧屋」よりこっちの方が居心地良し。


11月23日(木・祝日)
22日の会議が思いのほかスムーズに終わったので、予備的に用意していた10時からの打合せは無し。
お陰で時間的には余裕たっぷり。ブラブラ歩きで晩飯用の食材でも調達してから帰ろうか……と、9時半にホテルをチェックアウトし、明石の台所「魚の棚商店街」に向かい、そこで、鱧一匹(長くてデカくて900円)と、玉ねぎ天、れんこん天、たこ天を買い、11時前に明石を発った。

帰りの車中での“旅の友”は、「俳句はドラマだ。心の声を表したい」と語る友人T君の自叙伝的「俳句論」と句集が掲載されている句会誌『毬』(10月号)。(10月にT君から送られてきたのだが、じっくり目を通していなかった)

俗人と言はれ続けて端居する
木の芽張る国家より重き人ひとり
出口なき家といふ箱鱗雲
思想家の逝く日や花の種を蒔く
夏帽の黒と決めかね旅ひとつ
立春や白湯飲み今日の声を出す
春が来た衣食住俳さらに俳

出会ってから40年、「俳句」がそれほどまでに彼の人生に影響を与え、生きていく日々の活力と心の潤いをもたらしてきたことを、迂闊にもあまり知らずにいたが、年々研ぎすまされていく言葉の数々……その作句からは、「非日常の視点、つまり詩的態度、詩心を養い高め、思想的な態度を失うことなくいきたいものである」というT君の心の声が聞こえてくるようだった。

午後3時過ぎ帰宅。夜は鱧鍋。

11月24日(金)
午前中は気分的なリフレッシュを兼ねて近くのヘアーサロン(床屋さん)へ。
担当のTIBA君(25歳)が相撲好きということで、話題は「日馬富士問題」……でも、この件に関しては「暴力はダメ。まして礼儀・礼節を重んじる人間が、礼節に最も反する暴力を振るって良いわけがない」「貴乃花親方は相当頑固で変わった人(協会の体質を変えたいなら、自分の味方を増やした方がいいのでは?)」「酒席で説教はするべからず」という以外、語ることなし。
(それより、あれほど“国難”を煽っておきながら、国難もモリカケもほったらかして、四六時中この問題を騒ぎ立てるメディアに即引退を迫りたい)

疲れていたせいだろうか、髭剃り中に一瞬寝落ち……家に帰ったら、刷り上った年賀状が届いていた。(今年もMIYUKIさんの写真と私のコピーのコラボ。まずまずの出来)

午後は仕事と読書。夜はテレビ「ドキュメント72時間“もみほぐし店”」を観ながら就寝。


2017/11/29

10日間のメモ①




11月19日(日)
新宿シネマカリテでホドロフスキーの『エンドレス・ポエトリー』(脚本・監督:アレハンドロ・ホドロフスキー/フランス、チリ、日本/2016年)を鑑賞。

意思の赴くままに独自の映像世界を操り、言葉と共に生き抜いてきた御年88歳の巨匠ホドロフスキー。その最新作は、まるで夢を見ているような……詩的で、示唆的で、色と音と愛(エロス)が溢れる幻想的な映画だった。(90歳間近にして、まったく衰えない情熱&イメージの豊かさ!まさに驚愕の一言)

11月20日(月)
この日も映画(忙しくなる前に“観だめ”)。新宿シネマートでコリアン・サスペンスアクション『密偵』(監督:キム・ジウン/韓国/2016年)を観てきた。

日韓併合直後の1920年代の朝鮮半島と上海租界を舞台に、日本からの独立を目指す武装組織「義烈団」と総統府刑務局(日本警察)の熾烈な戦いを描いた“諜報サスペンス”の力作。
140分の長尺ながら、ジリジリするような緊迫感が全編に漲り、中弛み一切無し。良質の韓国サスペンス映画らしい熱量の高さに圧倒されながら、満ち足りた気分のままに向かえたエンドロール……というわけで“面白さ的”には、今年のベスト1。
主役の総統府刑務局警務イ・ジョンチュル役に名優ソン・ガンホ、「義烈団」の団長役にイ・ビョンホン、そして「義烈団」のテロ実行部隊リーダー役にコン・ユなど、韓国のトップスターを揃えたキャスティングも実に魅力的(特にソン・ガンホ!)、クライマックスに流れるラヴェルの「ボレロ」もゾクッとするほどピッタリで効果満点だった。

で、映画からの飲み会……場所は池袋の「魚金」(17時~)、面子は仕事上の盟友でもある経営コンサルタントのY君、今年の春に大学を退官したO君、そして私。酒席での話題は12月に総勢6名で行く「ベトナム旅行ツアー」を中心に「ネトウヨ」「安倍とトランプ」「立憲民主と小池・希望の党」「憲法と安全保障」「小林よしのり」「山尾しおり」「森ゆうこ」「義家弘介(あの、クズ野郎!)」「菅田将暉」「陸王」「高倉健」「高橋克実」「宇多田ヒカル」「日馬富士」等々(ほとんど脈絡なし)。
二次会はどこの飲み屋も一杯だったので池袋警察近くの中華料理「蘭蘭」で鉄鍋餃子、鶏肉とカシューナッツの炒め物などを肴に、3人で紹興酒ボトル1本を空けお開き。
帰り際、法学者のO君から彼が著した『憲法改正限界論のイデオロギー性』という小難しいタイトルの本を頂いた。帯に書かれた一文は「憲法学よ、心配はいらない。憲法が法であることの証明など、誰にもできないのだから。」……???(パッと見、実に読みにくそうな本だが、親しい友人の渾身の一冊。時間をかけて読み切るつもり)

11月21日(火)
日中は仕事。明石のクライアントに依頼されている「営業案内(パンフ制作)」に関して、先方からメールで送られてきた“アピールポイントの整理”に目を通しながら、訴求点・問題点をノートに書き出し、展開案をイメージしながら出張の準備を整えた。
夜は、テレビを見た後(ニュースステーションなど)、O君の著書を読みながら就寝。(やけに長~い“序章”を読んでいるうちに、勝手にまぶたが閉じてしまった)

2017/11/18

乃木坂でラジオCM収録。




昨日は、コピー&サウンドロゴ用キャッチコピーを手掛けたラジオCMの収録があり、六本木旧防衛庁横(現在的には東京ミッドタウン裏手)の「アートプラザ」へ。

このスタジオ、もともとは「アートプラザ1000」といって、その昔、歌手の千昌夫さんがオーナーだったことから業界ではそこそこ名の知れたところ。(ふとした理由から、私もそのスタジオの存在を知っていたが、自分が仕事で度々来ることになるとは思わなかった)
収録の合間、その事が話題に上り、当時から働いているらしいスタッフの方が「社員旅行ではいつもオーナー自ら「北国の春」を歌ってくれた」という昔話を聞かせてくれた。

白樺 青空 南風♪……千昌夫は超ロングヒット「北国の春」のお陰で人気絶頂の真っ只中、そして広告業界も景気が良かった時代。全面ガラス張りの「アートプラザ1000」は、足を踏み入れるのも憚れるほど“バブリーな匂い”を漂わせていたが、今はその外観もかつての輝きを失い、周辺に漂っていた好景気の気配もすっかり消えてしまっていた。

盛者必衰。バブル時代の名残のような場所で、バブルと全く無縁だった自分が「あれから30年近く経っちまったんだなあ」と、一瞬、妙な感傷を抱いてしまったが、収録自体はそれとは関係なしにテンションを上げながらスムーズに進行。声優の方に「ロッカーなんだから、キンキンした声じゃなくて、ドスが効いたというか、できるだけ低音を意識しつつ張り上げてください」みたいな注文をつけたものの2時間ほどで終わり、クライアントのTさんも「いやあ、やっぱり勢いがあっていいなあ~」と満足そうな笑みを浮かべていた。

というわけで、この冬、ラジオから流れるCMは下記の2パターン。

①改訂「はるオンパックス」ライブ編201730秒)
 SE(ライブの歓声)
  観客・大勢の男(アンコールを求める声の感じで)
      マイコール! マイコール!
   カイロはやっぱりマイコール!
    「はるオンパックス」マイコール~!
 ロック系歌手(女)
   ありがとう! この冬は14時間もあっためるよ~
    「はるオンパックス」貼りまくって行こう~
 サウンドロゴ
   あったか、いいね~、オンパックス

②改訂「足元用オンパックス」ライブ編201730秒)
 SE(ライブの歓声)
 観客・大勢の男(アンコールを求める声の感じで)
   つ~まさき! つ~まさき
   つま先あったかマイコール!
   カイロはやっぱりマイコール~!
 ロック系歌手(女)
   ありがとう! この冬は、冷えたつま先あっためるよ~
    適温9時間 YEAH~!)「足元用オンパックス」サイコー
  サウンドロゴ
   ♪ あったか、いいね~、オンパックス ♪

2本とも12月から文化放送、TBSラジオ、ニッポン放送、TOKYO FMNACK5でオンエア開始。

 

 

 

2017/11/07

健さん本&おすすめツイッター




日曜(5日)、池袋西武の三省堂で購入した『高倉健 七つの顔を隠し続けた男』(著者・森功/講談社)をほぼ一日がかりで読みおえた。

酒と喧嘩に明け暮れた学生時代、暴力団との関係、江利チエミとの出会いと別れ…などなど。俳優になってからはその名を汚さぬように酒を断ち、生涯、ストイックなまでに「高倉健」を演じ切って人生を終えた小田剛一(本名)。
スターは死んだ後も、その輝かしい伝説と痕跡を世の人の目と胸に残して生き続けてほしいものだが、《名声と富を極めた高倉健は、その骨すら家族の手元に残らなかった》という何とも寂しく唖然とするような結末。

生前の私生活も謎のベールに包まれていたが、最後に「養女・小田貴」というミステリアス(というか不可解)な存在を残して逝ってしまった健さん……天国にもテネシーワルツは流れているのだろうか。


さて、衆院選が終わって早2週間経つが、私の日課は変わらず「立憲民主党」と「立憲民主くん」、そしてドキュメンタリー映画『選挙』などの製作・監督で知られる映像作家「想田和弘」氏のツイッターを覗くことから一日が始まる。(私自身はツイッターをやりませんが…)

特に、ツイッター上で絡んでくる安倍信者や応援団の見当違いな批判に対し、丁寧に解説を付けながら論破し続けている想田氏には「鬱陶しくて面倒な作業だろうに、よくやるなあ。偉いなあ」と感心するばかり。その発言の数々にも触発されることが多い。
先日も、57億ものお土産(国税)を貰った代わりにアベノミクスを持ち上げ、首相との食事と皇居のお散歩とファッションの話題だけを残して早々に帰国したお騒がせセレブ「イバンカ・トランプ」に対して、鋭く“まっとうな”コメントを発していた。

《イバンカの東京での「セクハラをなくしましょう」スピーチがアメリカのツイッター民に失笑されてるとの記事。そりゃあまずはオヤジを何とかしろって思うよ、普通。》

《役職上は大統領補佐官でしかないイバンカ・トランプを首相がわざわざ出迎え税金を浪費し元首並みの厚遇をしたのは、イバンカがトランプの娘だから。トランプも安倍晋三も身内を重用するネポティズム(縁故主義)の政治家だが、それを絵に描いたような構図。「公」が消えて政治の「私」物化極まれり。》

今日は今日で「トランプの忠実な手下」に辛辣な一言。

《それにしても、トランプが日本は大量の武器を追加で買うべきだ、そうすると日本の安全保障に寄与するだけでなくアメリカの雇用拡大にもなると言ったのは、いくらなんでも正直すぎるよね。それでも安倍晋三は武器を買うことを表明するのだから、「忠実な手下」(ワシントンポスト紙)とは悲しいものよ。》

ちなみに、彼が読んでいるという話題の『アベノミクスによろしく』(著者・明石順平/インターナショナル新書)も、ちらちらと読み進めているところ……というわけで、個人的に大注目のツイッターであります。

2017/10/31

10月の映画メモ




●『ユリゴコロ』(監督:熊澤尚人)
101日、西武池袋線・豊島園駅近くの「ユナイテッドシネマとしまえん」で鑑賞。

吉高由里子、松山ケンイチ、松阪桃李などキャスティングも良く、中々見応えのある完成度の高い映画だったが、原作に比して満足度・感動度はイマイチ。
尺の問題だと思うが、登場人物を一部カットしていて、人間関係の相関が簡略化されるなど、ストーリー的にかなりはしょった所があるせいで、大事なクライマックスが原作とはまったく別物。心に温かい血が流れ出すような深い余韻を味わうことなく、エンドロールが流れた。

で、映画館を出たら、豊島園駅前がすごい人だかり……何かと思ったら「駅前対話」と称して自民党の小泉進次郎が遊説に来ていたようだ。
ツレは「どこ?どこ?」とアイドルを探すように食いついていたが、私は自民党シンパでもイケメン好きでもないので特に興味なし。寧ろヤジを飛ばしてトラブルになる危険性もあり、後に「責任VS 無責任の戦い」とニュースで流れた彼の演説を聴くことなく帰路に就いた。(しかし、凄まじいほどの進次郎人気。今回の衆院選でも、安倍政権の救世主的存在だった)

●『動くな、死ね、甦れ!』(監督ヴィターリー・カネフスキー/1989年製作・ソビエト連邦)
1990年のカンヌ映画祭でカメラ・ドールを受賞した異色の青春映画(HDリマスター版)。
10月某日、渋谷「ユーロスペース」で鑑賞。

まず、邦題が凄い。英語タイトル「DON'T MOVE, DIE AND RISE AGAIN!」の直訳だが、「革命的なギャング映画か?!」と見まがうほどのインパクト。
だからというわけではないが、監督カネフスキーの自伝作と言われる映画の印象も鮮烈だった。

舞台は、第二次大戦直後の強制収容所のあったロシア極東の小さな炭鉱町「スーチャン」(1935年、カネフスキーはここで生まれ、育った)。「少年は極東の町スーチャンから来た」「みんな準備はいいか?始めよう(よーい、スタート!)」という監督カネフスキーの声で、観ている者は、いきなりその空間に放り込まれる。

暗い穴倉に潜りひたすら炭鉱を掘り続ける大人たち。労働地区では受刑者や捕虜として抑留された日本兵たちが強制労働に就いていて、時折、彼らが歌う日本の歌(「南国土佐を後にして」「五木の子守唄」「炭坑節」)が流れる……抜け出たい思いを抱えながらも、抜け出す術のない者たちの絶望と無力感が漂う中、降り積もる雪のように深い寂寥感がスーチャンの町を覆う。
そんな環境下、自分を疎ましく思う大人たちに抵抗し、存在を示そうと声を張り上げる12歳の悪戯好きな少年ワレルカと彼を見守るようについて行く少女ガリーヤの物語……

結末は予感通り悲劇的。しかし、二人の苛酷な運命には感動も涙も無縁。カネフスキーの映像は薄味の感傷を拒否するように迸る狂気を走らせ、「よし、ここでいいだろう」と自ら声を上げ自伝の幕を閉じる。

そのぶっきらぼうさに唖然としながらも、なぜか心が震え、すぐに席を立つことができなかった。

●『あしたは最高のはじまり』(監督:ユーゴ・ジェラン/2016年製作・イギリス、フランス合作)
1027日、高校時代からの親友たちとの飲み会の前に「角川シネマ新宿」で鑑賞。

「最強のふたり」の好演が未だに心に残る俳優オマール・シーが主演を務めたフランス製ヒューマンコメディ。フランスで8週連続トップ10入りを果たし大ヒットした作品……だが、あまりに脚本が雑すぎて(人物描写も雑)、最初から最後まで馴染めず腑に落ちず一向に楽しめない。必然、コメディなのに笑えず、ヒューマンなのにジーンと胸にもこない。
期待していたオマール・シーの演技も毎度同じでステロタイプ化しており、まったく面白味なし。唯一の救いは子役の演技が自然で良かったこと。
当然、酒席の話題にする気も起きなかった。