2018/04/10

愉しい展覧会(サヴィニャック展)




先週の土曜(7日)、フランスを代表するポスター作家レイモン・サヴィニャックの国内5美術館を巡回する大規模な展覧会が開催中とのことで、電車で約10分の「練馬区立美術館」へ。(練馬区独立70周年記念『サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法』)

《20世紀フランスという時代と場所の空気を切り取ってきた写真を通して、今日「屋外広告」とよばれる広告芸術が、道行く人々の心を癒し心躍らせ、時に批判され、街の中でどのような効果を発揮していたかに思いを馳せながら、ポスターというメディアを魔術師のように操ったサヴィニャックの世界をご堪能ください》という美術館の案内コメントに従い、“ユーモアとエスプリが奏でるグラフィックの魔法”をゆっくり1時間かけて味わった。

サヴィニャックのポスターの特徴は、ひと言で言えば“陽気でシンプル”。ポップな色彩が溢れる世界の中で、人や動物がユーモラスにポージングする様を見ているだけで、自然に笑みがこぼれてしまう。

その代表的な作品の一つが、石鹸の上で首を傾げるキュートな牛がアイコンの『牛乳石鹸モンサヴォン』。(1948年作、サヴィニャックが41歳の時のもの。このポスターの大ヒットにより、その日からパリの街は彼の作品で溢れはじめたとのこと)

           http://www.bunkamura.co.jp/data/files/gallery/2017/20170308/mainvisual.jpg

それら代表作を中心に、スケッチや原画、パリに貼られたポスターの景観写真まで、約200点が展示されている中には、当時とても刺激的だった「としまえん 7つのプール」(1989年)など、日本企業から依頼された作品も幾つか……(サントリー、森永など、ユーモラスでありながら強い印象が残るサヴィニャックのポスターは、日本企業からの依頼も多かった)

       サヴィニャック

 

で、本展においての私のお気に入りを4、5点……

                      「エールフランス航空」

          ポスターデザインの巨匠レイモン・サヴィニャック展を開催中、アクタス新宿店へ急げ!

            タイヤのブランド「ダンロップ」

       http://imgcc.naver.jp/kaze/mission/USER/20140426/40/4558760/16/512x339xf07aee9fd19ab234ca6ba600.jpg

       サヴィニャック

              イタリアの酒「チンザノ」

        サヴィニャック

 

   「早く!アスプロ」(鎮痛剤)

           Savignac Aspro 1963

 

「サヴィニャック」の後はノムニャック。高校同期の部活仲間との集まりがあり新宿へ。いつも通り「鼎」からスタートし、2軒目は初めて入る「だいこんの葉菜」。たらふく呑んだ後は「ローレル」で〆のコーヒー……既に、時計の針は夜11時を回っていた。

2018/04/07

ジョージア発、『花咲くころ』(ひと月遅れの映画メモ)




ジョージア……と聞いて、すぐに頭に浮かぶのはレイ・チャールズが歌い世界的に知られるようになった名曲『我が心のジョージア(Georgia on my mind)』。

歌の中のジョージアはもちろんレイ・チャールズの故郷、アメリカ・ジョージア州のことだが、かつて「グルジア」と呼ばれたコーカサス地方の国が、「ジョージア」とロシア語読みから英語読みに切り替えられたのを3ヶ月ほど前に知った。(きっかけは、大相撲初場所の優勝力士「栃ノ心」がジョージア出身と報じられたこと)

で、3月初めの月曜(5日)、その「ジョージア」(現地語での正式名称は「サカルトヴェロ」)の映画が気にかかり、神田神保町の岩波ホールまで足を運んだ。

タイトルは『花咲くころ』(監督ナナ・エクフティミシュヴィリ&ジモン・グロス/2013年製作/ジョージア、ドイツ、フランス合作)。
映画の舞台は1992年、旧ソ連崩壊直後の混乱期にある首都トビリシ。主人公は、これから花開こうとする14歳の二人の少女、エカとナティア。その友情と成長の物語……

近年、女性監督の躍進が目立つジョージアにおいて、本作の監督であるナナ・エクフティミシュヴィリ(1978年生まれ)はその先頭に立つ存在とのこと。『花咲くころ』は、彼女の少女時代の鮮烈な思い出がもとになっており、主人公の少女エカは、言わば彼女の分身。

その“分身”の身近で起きる出来事を本流に、民族対立や戦争のきなくさい匂いに覆われた町トビリシの殺伐した風景と日常生活物資にも事欠く人々の荒んだ生活が描かれる(1991年暮れに発生した内戦から、民族紛争が一段落する1993年末までの約2年間は、ジョージア現代史の暗黒時代として記憶されているそうだ)。

必然、作品全体のトーンは暗い(硬質な映像と言うべきか)。加えて「誘拐結婚」「若年婚」といった当時の理不尽な現実も描かれ、やるせない気分にもさせられる。
でも、大人たちが繰り広げる愛と憎しみと暴力の傍で、女性としての困難に立ち向かいながらハードな思春期を過ごす14歳の少女たちのたおやかな姿(驟雨の中を二人が駆け抜けるシーンの美しさ! 祝宴の席でエカが踊るダンスの気高さ!)、その小さな決意の瑞々しさに心を揺さぶられながらの102分は、いまの日本への苛立ちを忘れさせてくれるほどの清々しさに満ちた至高の時間。
「憎しみの連鎖は、赦し、善良な行為、そして平和を尊ぶことによって断ち切ることができる」という確かなメッセージを世界と未来に告げる、力強く美しいジョージア映画との出会いだった。

ところで、コアな映画ファンからは“お教養主義(高尚だけど退屈な作品ばかり…という意)”と揶揄されることも多い岩波ホールだが、この『花咲くころ』を創立50周年記念作品第1弾として選択したのは“お見事!”の一言。「エキプ・ド・シネマ」の名を冠する劇場の伝統と矜持を久々に感じさせてくれた。
(去年から楽しみにしていた『マルクス・エンゲルス』も50周年記念の第3弾として今月下旬に公開。今年の岩波ホールはバリバリ気合いが入っている感じ)

2018/04/02

「沁みる」「笑える」歌ふたつ。




先週の金曜夜、NHK BSプレミアム「The Covers」で、久しぶりに竹原ピストルの歌を聴いた。
彼がカバーしたのは吉田拓郎の「落陽」、ビートたけしの「浅草キッド」、そして自ら詞を手掛けた賛美歌「Amazing Grace」。

そのどれもがカバー曲というレベルを超える“竹原オリジナル”。ガツンと胸に響くものだったが、中でも「アメージンググレース」は、気怠い体が震えるほど凄かった。  (リリー・フランキー曰く
「これが日本の賛美歌だ!」)

というわけで虚ろな春の日、心に沁みるその歌を。


続いて「笑える」歌動画。今日「内田樹」のツイッターを通じて知った“ナンセンスの極致”、名付けて「スーリラ節」だそうで……何かと腹の立つことの多いご時世、ちょっとした気晴らしに。