2014/03/09

サティスファクション?!

6日(木)はザ・ローリング・ストーンズの最終公演を観に、東京ドームへ。(その前に、池袋の蕎麦屋「文右衛門」で腹ごしらえ&軽く一杯。かつ煮&じゃこ天をつまみに菊政のぬる燗をひっかけ、冷えたカラダを温めた)

最寄りの後楽園駅に着いたのは午後6時前(開演予定18時30分)。お馴染み“ベロTシャツ”を着た人たちを横目に見ながら22ゲートからドームへ入る。席は1階1塁側 25通路16列1番(かなりステージに遠いとは言え、真正面!)……予定から30分遅れの午後7時、大音響&大歓声の中で待ちに待ったステージが開いた。

オープニングは「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」。

家を出る前から「年甲斐もなく、はしゃいで、ジャンプしたりするのはやめよう」と心に決めていたが、いきなりの総立ち・大合唱……そんな熱狂の嵐に抗う術も気もなく、野暮な決心はあっさり撤回。♪ガス!ガス!ガス!と小さく叫び、軽く握った拳を天に突き上げた。

2曲目は、調子良さ気なキースのギターが自由奔放に唸る「ユー・ガット・ミー・ロッキング」。そして“たかがロックン・ロールじゃねえか”“でもオレはそいつが好きなんだ”の繰り返しが堪らない「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」、ミックのキレキレな動きに“スゲエ~”と声が漏れた「タンブリング・ダイス」と続き、5曲目は、ロックと酒で熱くなった胸に沁み渡る「ルビー・チューズデイ」。(衰えを知らないミックのパフォーマンスにシビレながら「彼にも、いつかこの世を去る時が来るのだろうか?」……と半ば本気で一人の人間の死を疑ってしまった)

で、7曲目「リスぺクタブル」の時、突然「トビキリノスペシャルゲスト、ホテイ!」とミックが叫び、「布袋寅泰」登場……会場には何とも言えない驚きの声と拍手が入り交り響き渡ったが、「えっ、ホテイ?なんでだよ!!」と思わず口走ったくらい、私的にはまったく嬉しくないサプライズに、テンション大幅ダウン。

別に布袋寅泰が好きとか嫌いとか言う問題ではなく、世界最高のロック・バンドの演奏に酔いたいこの夜に、この場に、ストーンズのファンにとっては無関係な日本のミュージシャンが出てきてはイカンでしょ!という感じ。しかも、キース・リチャーズとロン・ウッドに挟まれてギターセッション。さらにはセンターマイクを分け合ってミックと熱唱なんて、観ているコチラが恥ずかしくなるくらい恐れ多いパフォーマンスではないか(確かにギター・テクニックは一流。でも耳では納得できても、目と胸が捉えた違和感は拭えない)。その上、ゲスト布袋の影響により、もう一人のゲスト、ミック・テイラー(元ローリング・ストーンズのギタリスト)の参加曲が減ったというのだから、サプライズどころか悪夢としか言いようがない。(例え、スペシャルゲストが清志郎だったとしても、それはいけないルージュマジック……)

というわけで半端ない興醒め感を味わったが、「ホンキー・トンク・ウィメン」で多少回復。「ペイント・イット・ブラック」で完全回復。

以降、眩しすぎる照明に時折クラクラしながらも、ほぼ立ちっぱなしで、実年齢からは想像もできない凄まじいエネルギーと不変の輝きを放つ最高のステージを満喫。大盛り上がりの「サティスファクション」をラストに、ぶっ通し2時間超の夢(ライブ)が終わった。

そして今宵、平均年齢69歳のバンドが、ロックンロールの限界をさらに広げた熱い夜を思い出しながら、♪祭りのあとの淋しさは……とフォーク気分で一人酔い。

 

(以下、3月6日のセットリスト)

  1. Jumpin'Jack Flash
  2. You Got Me Rocking
  3. It's Only Rock'N'Roll (But I Like It)
  4. Tumbling Dice/ダイスをころがせ
  5. Ruby Tuesday
  6. Doom And Gloom
  7. Respectable (ファン投票による選曲:with special guest Hotai)
  8. Honky Tonk Women
  9. Slipping Away (with Keith on lead vocals, featuring Mick Taylor on guitar)
  10. Before They Make Run (with Keith on lead vocals)
  11. Midnight Rambler (with Mick Taylor on guitar)
  12. Miss You
  13. Paint It Black/黒くぬれ!
  14. Gimme Shelter
  15. Start Me Up
  16. Sympathy For The Devil/悪魔を憐れむ歌
  17. Brown Sugar

アンコール

  1. You Can't Always Get What You Want (with the Senzoku Freshman Singers)
  2. (I Can't Get No) Satisfaction

2014/03/01

生命力あふれる一本



先日、昨年末に亡くなった友人の奥様から、故人への思いがこもった丁寧なお手紙(自筆の会葬礼状)を頂いた。

その中には、「彼が果たせなかった分も、これからも映画観てくださいね!」という一文も添えられ、4枚(4作品)の映画鑑賞券が同封されていた。

映画好きの私に対する粋な「香典返し」だろうか……その温かい心遣いに謝意を込めた返書を送り、今週の水曜日(26日)、その内の一本『ダラス・バイヤーズクラブ』を観てきた。

上映館は都内で3カ所、私は、よく飲み会で利用する店がテナントとして入っている新宿NOWAビル地下1階の「新宿シネマカリテ」へ。
上映開始13時10分、レディースデーということもあり、開始10分前で席はSOLD OUT……さすが話題のアカデミー賞候補作品、100席にも満たない小さな映画館とはいえ予想以上の入りだった。

私の座席の両サイドは、それぞれ20代と60代(勝手な見立て)の女性……別に若かろうがオバサンだろうがどうでもよいのだが、この二人、「何が、そんなに可笑しいの?」と聞きたくなるくらい実によく笑う(クスクスじゃなくゲラゲラ)。それも決まってR15っぽいシーンや下ネタ系で……。
まあ、ある意味“オ・ト・ナ”の二人なのだろうが、ソレ的な場面は軽く流して主人公の内面やドラマの本筋に集中したい私としては、かなり興醒めで鬱陶しい。 
どうせなら、主人公のロン(マシュー・マコノヒー)が、エイズで死んだ俳優ロック・ハドソンの事を「『北北西に進路を取れ』を見たことがないのか」と、仕事仲間に“知ったか”で教えるあたりで笑って貰えると、ナイス!なんだけど。(『北北西に進路を取れ』の主演は、往年の二枚目スター、ケーリー・グラント)
と、余計な事に気を取られ少し集中力を欠いてしまったが、斯様に笑えるシーンやセリフも多く、重い題材を扱っていながら、悲壮感や説教臭さとは無縁の心動く作品……

ロデオを愛し、酒に溺れ、コカインをキメてコール・ガールと戯れる。そんな刹那的で荒れた日々を送るテキサス男(カウボーイ)が、突然(ゲイでもない)自分がエイズで余命30日と診断されたことに激しく動揺(物語の舞台は、1985年のテキサス・ダラス。ゲイ=エイズという盲目的な偏見に満ちていた時代)、容体を改善する良薬のないことに憤りつつ自ら未承認薬を手に入れ捌き、挙句は無料で配布する組織「ダラス・バイヤーズクラブ」を立ち上げ、国と製薬会社に必死の戦いを挑む……という実話に基づいたドラマを、殊更盛った描写もない誠実なカメラワークで、無知ゆえの偏見に満ちた一人の男の成長のプロセスとしてスクリーンに浮かび上がらせる。

で、この映画の一番の魅力は、何と言っても役者陣のスキルの高さ。まず、21キロの減量を果たして難役に挑んだ主演のマシュー・マコノヒーが秀逸。絶えず渇いた咳をしながら、刻々と痩せ細っていく様をリアルに体現し、ただ“生きたい”という強い意思だけで、社会と病に中指を立てて戦い抜こうとする男の切実な苛立ちとユーモアを、全身で感じさせてくれた。
そして、主人公のロン同様にエイズを患い、互いに反目しながらもいつしか彼のビジネス・パートナーとなるトランスジェンダーのレイヨンを演じた「ジャレット・レト」の息を呑むような輝きと存在感。高貴な哀しみ……とでも言おうか、内面から湧き出す優雅な美しさと眼差しで自身と他者の痛みを宥めながら、寛容で孤独なマイノリティを見事に演じていた。

映画は、ロンの生き様を象徴するように、彼が暴れる牛の背に跨り巧みに乗りこなすロデオシーンで終わる。必死に社会に抗い、まるでロデオのように、微かな希望にしがみつく人生……まさに生命力にあふれた一本ここにあり。(余命30日の宣告から7年後、ロン・ウッドルーフはエイズによる合併症でこの世を去ったそうだ)

※作品賞は『ゼロ・グラビティ』『キャプテン・フィリップス』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』以外、未だ他の候補作を観ていないので何とも言えないが(4本の中では、断トツで『ダラス・バイヤーズクラブ』)、アカデミー主演男優賞・助演男優賞は、ぜひ二人に!

2014/02/24

台湾4人旅。


17日から20日まで、旧友2人&家人と共に3泊4日の台湾旅行(参加者14名の格安ツアー)。

17日は午前5時20分空港集合ということで、4人揃って蒲田駅近くの「相鉄フレッサイン」に前泊。Y君が手配してくれた店、魚料理では蒲田No.1と呼び声が高い「千代の追風」で、絶品の肴に舌鼓を打ちながら旅行前の前夜祭……途中から、隣の席の女性2人(40代前半)も宴の輪に加わって3時間余り、旅行と無関係の話で大盛り上がりの酒席となった。


さて、旅行1日目……羽田発7時20分、台北着11時20分頃(現地時間10時20分)。
着後すぐにバスに乗り、山の斜面にある町「九份」へ。町中に赤い提灯がぶら下がり、入り組んだ狭い路地にびっしりと飲食店・土産品店が軒を連ねていた(『千と千尋の神隠し』の舞台となった場所と言われているが、ジブリは否定している)。昼食後30分ほど路地を散策(顏なしの格好をした物売り&昼寝中の猫に会う)、その後、特急列車で宿泊地「花蓮」に向かった。


2時間余りで「花蓮」到着。ホテルへ向かうバスの中で、名ツアーガイドのソさんの勧めに応じて台湾原住民「アミ族」の舞踊ショー見学を申込む。
で、思いがけず(と言うか否応もなく)、その舞踊ショーに参加させられる羽目に(車中でのスリリングな抽選ゲームに負けてしまった結果)……観客約300人。「アミ族」が“結婚式の踊り”を披露するクライマックス、観客席から引っ張り出された私は「花婿」役として民族衣装を身に着け、舞台中央へ。土下座のような格好でお祓いを受けた後、アミ族の若者に手助けされながら「花嫁」を背負子で担ぎ、観客の声援に手を振り応え場内一周。そのまま舞台袖に引上げ「やれやれ」と安心したのも束の間、「花嫁」から「オシリ、オシリ!」と厳しい口調で踊りのレクチャーを受け、再度、花嫁&若者たちと手をつないで舞台に。鳴り響くリズムに合わせて(?)微妙にお尻を振りながら、ほとんどヤケクソで踊りまくってしまった。



2日目は、朝7時過ぎにホテルを出発し、花蓮の景勝地「太魯閣峡谷」へ(大理石が浸食された渓谷で、断崖絶壁が何キロも続く)。見たこともないほどのスケールに一同唖然(写真では、その驚異が伝わりにくいけど)。


30分ほどの「太魯閣」観光を終えた後、市内の大理石工場を見学し、普通列車に乗って5時間半、台湾第二の都市「高雄」へ。(出発駅のホームで「教育勅語」を朗々と暗唱し、私たちの前で披露する86歳の元気な老人と遭遇。高らかに彼が歌う軍歌の名曲「海ゆかば」に送られながら乗車……今も残る日本統治時代の深い傷跡を見せられたようで複雑な気分に)

車内では、骨付き豚肉がご飯を覆うボリューム満点の駅弁に御一行様大仰天(肉の味は微妙だったが、肉の下に隠れていた煮玉子は絶品)。
車窓から眺める風景は、山と畑と点在する壊れそうな家屋(&遠く微かに青い海)……だが、終点の「新左営」駅に降り立つと、風景は一変。台湾高速鉄道の開通によって作られた駅らしく、屋根は波のような曲線を描き、構内はまるで空港ターミナルのような雰囲気。窓からは漢字の看板に混じって、ビルの谷間に「ユニクロ」のロゴも見えた。

ここ高雄での観光のハイライトは、北郊外にある淡水湖「蓮池潭(リエンツータン)」。湖上に七重の塔が二つ建てられていて、左の塔には竜、右には虎がつけられており、両方とも大きく口を開けていて、中は空洞。自由に人が通れるようになっている。観光客は、「悪魔が渡って来られないように」と架けられたジグザグの橋を渡って、竜の口から入り、塔に登って虎の口から出るのが順路らしく、私たちも「塔」を省いてそれに従った(虎の口から出ると、災いから逃れられるとのこと。中国の故事「虎口逃生」に基づいているそうだ)。そのあと、物珍しさにつられ露店の果物屋で「釈迦頭(シャカトウ)」という台湾フルーツを購入(少々くどい感じだが、今までに味わったことのないミルキーな甘さ)。


街での夕食後、六合二路の夜店散策(台湾名物、夜市)。名物の臭豆腐や色々な香辛料が入り混じった複雑な臭気漂う中、立ち並ぶ露天を遠目に覗きながら30分程度ブラブラ歩き。「刺青」の店以外は、特に印象に残る店もなく(夜店で刺青!?危なすぎ!)、何も買わず、何も食べず、4人並んで記念写真を撮った後、ツアーバスでホテルへ。到着後、男3人で近くのコンビニへ出かけ、台湾ビールとジョニ緑(ジョニ・グリーン)&つまみ少々を仕入れ、ゴージャスな部屋で乾杯(ホテルは3日間ともハイグレードで文句なし)。家人を交え2時間ばかり旅の話とバカな話で盛り上がった。





3日目は、朝から雨模様。最初の見学地、高雄最大の湖「澄清湖」(人造湖)も霧で曇ってほとんど見えず、次に向かった台湾で最も美しい湖と言われる「日月潭」湖畔観光も雨に霞み、寒さに震え、目をなごますこともなく、昼食時に呑んだ16年もの紹興酒の円やかで温かい味の記憶だけを舌と喉に残し、一路バスで台北へ向かった(約230キロ、3時間半のバス旅)。

台北に着いたのは午後6時半頃。この日も旨い台湾料理を食べながら、紹興酒で乾杯(いつも私たちの席だけ酒が進むようで…)。夕食後、バスでホテルへ。チェックイン後、すぐに4人で集まり、夜の台北“街歩き”。タクシーで目当ての居酒屋がある「永康街」を目指した。
タクシーが止まったのは、「昭和町」と称する骨董屋街あたり(「永康街」自体、日本統治時代に「昭和町」と呼ばれていたらしい)。骨董屋街と言っても、小さなビルの1階フロアに数店の骨董屋さんが軒を並べているだけ。売っているものも、ほとんどガラクタばかりで、あまりヤル気のなさそうなオジサン方がコチラを見ることもなく椅子に座ってまどろんでいるという、ゆる~い空気感が漂う場所。なので、早々に探索を切り上げ、目指す居酒屋「大隠酒食」を探し歩く。すると、反対方向から歩いてきて私たちの前を通り過ぎた若い女性が、数十メートル先からわざわざ戻ってきて「どこかお探しですか?」と流暢な日本語で声をかけてくれ(聞けば、学校で日本語を学んでいるそうだ)、「大隠酒食」の場所を丁寧に教えてくれた。(タクシーの接客マナーといい、ホント、台湾の人は親切!)
「大隠酒食」に入ると店内は超満員。仕方なく外で待っていると「日本の人?いま空くから少し待ってて」とオーナーらしき年配の人(日本人?)に言われ、1、2分で2階の席へ通された。(店ではカボチャ入りビーフン、しじみの醤油漬け、スズキの塩焼きを肴に、台湾ビールで乾杯。ささやかに台北の夜を味わい、心地よくホテルへ帰った)





最終日は、台北市内観光。朝7時50分にホテルを出発し、バスで10分ほどの「龍山寺」へ。1738年創建というこのお寺、今までに何度も戦禍に見舞われ、改修と再建を繰り返しながら、この地の信仰を一身に集めてきたそうで、仏教・道教に関わらずたくさんの神様が一堂に祀られており、この日も、数えきれないほど多くの人々の「お経を読む(と言うより歌う)声」が響き渡っていた。


次の見学場所「中正記念堂」に行く前に、龍山寺付近の通りと路地裏を少し覗き見。


ツアーバスは、10時の衛兵交代儀式に間に合うように「龍山寺」を出発し、「中正記念堂」へ。「中正」とは、中華民国の初代総統である蒋介石のことで、記念堂は蒋介石を偲んで(?)建てられたもの。2階の正面フロアには蒋介石の銅像が鎮座し、その前で毎日8回の衛兵交代儀式が挙行され(衛兵はすべて身長178cm以上のイケメン)、オバサン方必見の観光スポットになっているようだ。まあ、蒋介石の銅像を含めて私的にはあまり興味の湧かない場所。(でも、取りあえず記念撮影)



「中正記念堂」見学の後は、免税店でラスト・ショッピング。もちろん、高価な物には手を出さず、土産用に烏龍茶、パイナップルケーキ、値の張らない工芸品などを購入。
昼食は、世界的に有名な「鼎泰豊(ディンタイフォン)」で、激ウマ小籠包・焼売・炒飯など……「故宮博物館」見学に備えて我がグループは酒を一滴も飲まなかったが、大満足のラスト・ランチとなった。

ということで、最後の見学場所であり、今回の旅行の目玉「故宮博物館」へ。(館内は写真撮影禁止)
観光客に大人気の「翠玉白菜」(翡翠の原石を用いて作られた白菜、緑の葉先にはキリギリスとイナゴがしがみついている)、「肉形石」(豚の角煮にそっくりの天然石)、「九層象牙球」(1本の象牙を用いて作られた精緻な彫刻。故宮博物館随一の宝とも言われている)などは長蛇の列。待ち時間だけでも30~40分を要し、2時間の見学時間もあっという間……それでも多少、自由にゆっくり見られる時間があり、清朝時代の秘宝の数々を拝むことができた。(特に印象に残っているのは48枚の翡翠でできた「清朝・翡翠の屏風」。あまりの美しさにため息)


以上で、すべての日程が終了し、バスは台北松山空港へ。

ターミナルで、ツアーガイドの蘇さんとお別れ、記念写真……働き者だった亡き母に、横顔がそっくりの68歳の女性ガイド。そのプロ意識の高さ、サービス精神、優しさ、バイタリティはこの旅の最も貴重なエッセンスであり、親しい仲間と共に楽しく忘れがたい時を過ごすことができたことに心から感謝したい。

(パスポート紛失騒動、お土産品置きっぱなし事件、その他物忘れの激しさ故に数々の出来事があったけど、すべて良き旅の思い出……みんな、お疲れさん!)






2014/02/16

「狼」に失礼だ。



2週連続の大雪……先週同様、昨日も朝からご近所さんと一緒に自宅周辺の雪かき。

「まいっちゃうね~、こんなに降られちゃ」と、皆さん異口同音におっしゃるが、駅前の八百屋のオジサンが言うには、雪はこれで終わりじゃなく3月まで度々降るそうで……あ~、早く春が来ないものか。

さて、先日「Tジョイ」で観たマーティン・スコセッシの新作『ウルフ・オブ・ウォールストリート』……1980年代末から1990年代、証券界の若き風雲児として巨万の富を築きあげながら、証券詐欺の違法行為で逮捕され、ウォール街から去った実在の株式ブローカー「ジョーダン・ベルフォート」の10年間を、ベルフォート自身の回想録を基に描いた実録ドラマだが、その感想を手短に。

まず、全体の印象を端的かつ好意的に表現するなら、分不相応な金を稼いだ男の荒廃した人生に肩入れした金融ブラック・コメディとでも呼ぼうか……アカデミー作品賞、監督賞、そしてディカプリオが主演男優賞にノミネートされているからといって、それに値するほど高いレベルのエンタテインメント作品とは思えないので、あまり期待はしない方がいい。もちろん、涙や感動とも無縁だ。

まあ、“コメディ”なだけにソコソコ笑える部分はあるのだが、すべてシニカルな笑い。独創性の欠片もない連中のアホらしいほど意外性のないドラマを、酒とドラッグとセックスの狂乱によって見せられるだけの無意味で厭世的気分に満ちた3時間を過ごした後、口を突いて出たのは「くっだらねえ~!」の一言。(確かに、ディカプリオは“熱演”だが、映画の内容的に“役者の無駄遣い”という感じ)

リアリズムとは、無批判かつ無責任に社会や誰かの“真実”を描くことではないだろうに……と、スコセッシに文句の一つも言いたくなるような後味の悪い映画だが、そんな主人公を「ウルフ」などとカッコよく持ち上げては、厳しい自然の中で苛酷な縄張り争いを繰り広げながら必死に生き抜く、本物の「狼」にも失礼な話だと思う。




2014/02/12

マンチェスター&ハート・ブレイク・ホテル



昨夜の『世界ふれあい街歩き』(NHK BSプレミアム)は、19世紀の産業革命で中心的な役割を果たしたイギリス有数の商工業都市「マンチェスター」。(サッカー日本代表・香川真司が所属する「マンチェスター・ユナイテッド」のホームタウン)

街には、綿工業が栄えていた時代に造られたレンガ造りの綿紡績工場(ミル)や倉庫(ウエアハウス)の跡、産業革命期に整備された運河や製粉所のネットワークが今も残されており、カメラは、その運河の船着き場や若者の街へと変貌を遂げたオシャレな倉庫街を歩きながら、様々な人との“ふれあい”を映し出す。

サッカー好きの私としては、マンUの本拠地オールド・トラッフォード周辺も多少紹介してほしかったが、昔好きだった曲「マンチェスター&リバプール」の雰囲気が感じられる渋い町並み&雨の多い町での暮らしを楽しみながら生きる人々の姿も十分に魅力的。
中でも特に印象に残ったのは、ショッピングビルの壁面に描かれた様々な人物のモザイク画……マンチェスターゆかりの人々が描かれているというのだが、伝説のパンクバンド「セックス・ピストルズ」の画の下に、何と「マルクス」と「エンゲルス」の顔が並んでいた。
「雨の多い町だから、マンチェスターの人はあまり外に出ない。その分、部屋で自分と向き合う中で、芸術や哲学に親しむ時間が多くなり、様々なカルチャーが生まれた」と語ってくれた制作者(モザイク・アーティスト)に聞くと、二人は産業革命の時代に“研究旅行”でこの町に滞在していたらしい。
まあ、「産業革命」という言葉自体、エンゲルスによって広められたのだから、ゆかりの人々として描かれているのは驚くことじゃないが、アナーキーなバンドと社会主義思想家の時を超えた壁面の“共演”が実に絶妙で面白く、「センスいいわ~」と唸りつつニヤニヤ。

で、もうひとつ心惹かれたのは、運河で魚釣りをしていた初老の男性との“ふれあい”の中での会話……(大体、こんな感じ)
「魚、釣れるんですか?」
「もちろん。先週なんか80cmの大物が釣れたよ」「えーっ!スゴイ」
「毎日、ココに来るんですか?」「まあ、そうだね……」
「ご家族は?いつも来て文句言われないの?」
「家族はいないよ。カミさんに、逃げられちゃったんだ……ハート・ブレイク・ホテルさ」
「えっ、エルヴィスの?」「ん?一人暮らしっていう意味だよ、知らなかった?」

傷心の住処……一人暮らし。そうか、「ハート・ブレイク・ホテル」は、日常会話でこんな風に使うのかと、孤独な暮らしを自嘲気味に茶化すオジサンの言葉に感心しながら、やはり男に必要なのは多少のユーモアとやせ我慢。いい歳になったら、普通にこういうシャレたセリフが吐けないと、いけないなあと思った。

というわけで、今夜の〆は「マンチェスターとリバプール」「ハート・ブレイク・ホテル」の2曲。歌詞の一部を添えて(訳詩者不明)。



「マンチェスター&リバプール」(ピンキー&フェラス)

♪マンチェスターとリバプール
 どう見てもロマンチックなお馬鹿さん向けの街ではない。
 せかせかした足取り、埃だらけの通り。
 日々のため生きている人たち。

 でも煙と石炭片の後ろに
 大都市の鼓動を見つけるはず。
 どこをさまよっても 故郷は故郷。
 どんなに遠くに旅しても



「ハート・ブレイク・ホテル」(エルヴィス・プレスリー)

♪あいつにふられたあとで
 やっとみつけられたよ
 新しい住処の名前は
 ハート・ブレイク・ホテル
 さびしかったよ
 ひとりじゃいやだよ
 死ぬほどさびしいよ